東京は夏日で煙霧が発生、植物園はトサミズキ、サンシュユが満開
(破天荒の天気:暴風雪、夏日、煙霧)
3月10日の日曜日は、北海道では猛吹雪に襲われ、東京では観測史上最も早い夏日を記録するといった破天荒の天気でした。
北海道内は発達した低気圧が通過した影響で、先週に引き続き再び暴風雪となり、交通機関が大混乱となりました。

(3月10日15時天気図; tenki.jp より)
この日の天気図を見ると、やはり大荒れの大雪となった先週の天気図と酷似していることが分かります。
(3月2日12時天気図; tenki.jp より)
北日本の猛吹雪の一方では、南から暖かい空気が流れ込んだ影響で関東地方では 3/10朝から気温がぐんぐん上昇し、東京都心で最高気温が 25.3度となり、1876年の観測開始以来最も早い夏日だそうです。
さらに午後になると、一転して強い北風が吹き、空気中のほこりで視界が10キロ未満となる珍しい「煙霧」の現象まで発生した。この煙霧は、寒冷前線が南下した影響で北風が地表のほこりを巻き上げたのが原因とのことで、中国大陸から飛来する黄砂とは無関係とのこと。

(10日午後1時半煙霧発生;NHKニュースより)
終戦時の1945年3月10日は、米軍による東京大空襲があった日です。このとき10万人の民間人が犠牲となる大きな被害を受けました。そして2年前の明日は、私たちの記憶が生々しい東日本大震災の当日です。何だか3月11日前後はわが国にとって大厄日のような気がします。![]()
(ポカポカ陽気でトサミズキやサンシュユなどが満開)
この日の午前中に小石川植物園を回ってきました。ポカポカ陽気でしたのでセーターだけの服装でしたが、これでも暑いくらいでした。このところの気温上昇を受け、園内はトサミズキやサンシュユを始め、春の花が次々に咲き出し、次第に春爛漫といった感じになってきました。
黄緑色のトサミズキ(土佐水木;マンサク科トサミズキ属)の無数の花が、一斉に枝から吹き出し始めました。トサミズキはその名のとおり高知県原産で、蛇紋岩地帯や石灰岩地帯などに生育する落葉低木です。
サンシュユ(山茱萸;ミズキ科ミズキ属)も満開になりました。小さな黄金色の花が点々と木枝の至るところから吹き出しています。木全体が黄金色に輝いているように見えます。
カンヒザクラとマメザクラを交配して作出されたオカメザクラ(阿亀桜)。あざやかなピンク色の小さな花が木枝いっぱいに付いていました。
美しいツツジの花も咲き出しました。これは薩摩地方を中心に分布するハヤトミツバツツジ(隼人三葉躑躅;ツツジ亜属ミツバツツジ節)です。赤紫色の妖美な花が人の心を惹きつけます。
(梅林では紅梅、白梅が咲き続ける)
梅林は最盛期を過ぎましたが、まだまだいろんな紅梅、白梅が咲いていました。日曜画家のグループも見かけました。
ピンク色の紅梅は開運(かいうん)の園芸名が付いています。後方の黄金色は、満開になったサンシュユです。梅林の一角にサンシュユの大木が生えています。
明星(みょうじょう)。大輪の立派な白梅の花です。
いい香りが強く放つ佐橋紅(さばしこう)の紅梅。バックの白梅は明星。
藤牡丹枝垂(ふじぼたんしだれ)。薄ピンク色の紅梅が見事に枝垂れています。これ以外にも、まだ多くの梅の花が咲いていました。
梅林の外れに、ボケ(木瓜;バラ科ボケ属)の赤い花が咲いていました。しっとりと落ち着いた和風の趣があります。添景樹として花を観賞する目的でよく植栽されます。
(野の花も賑やか)
野の花も賑やかになってきました。ニホンズイセン(日本水仙;ヒガンバナ科スイセン属) の花が、まだ盛んに咲いていました。冬の寒さで咲き始めが遅れていたのかも知れません。
ハナニラ(花韮;ヒガンバナ科ハナニラ属)の清楚な白い花が咲き始めました。アルゼンチン原産でベツレヘムの星とも呼ばれます。日本には、明治時代に観賞用に導入され、その後帰化。葉にニラやネギのような匂いがあり、このことからこの名が由来。
春の七草のひとつのハコベ(ナデシコ科ハコベ属)の花を見つけました。小さく可憐な白い5弁花です。島崎藤村の詩集に、「小諸なる古城のほとり 雲白く遊子悲しむ 緑なすはこべは萌えず ……」とはこべが登場します。
暖地の草むらや荒れ地に広く自生するトウダイグサ(燈台草;トウダイグサ科トウダイグサ属)。先端に緑色の花序を形成しています。トウダイグサの名前ですが、東大や灯台とは関係なく、燈火の皿に見立てて和名が付いています。茎や葉を傷つけると白い乳液を出し、全草にわたり有毒です。
この日は、お昼頃には家に帰ってその後昼寝をしていたので、幸か不幸か煙霧には出会わずに済みました。今から次第に安定した春の陽気になってくるでしょう。ソメイヨシノ、コブシ、モクレンなどの開花が楽しみです。
…> 季節のスケッチ(25年3月)
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