緑濃く落ち着いた雰囲気の小石川植物園は初夏の花々
5月中旬になり、気温が上がり少し汗ばむ陽気になってきました。周りの新緑が日に日に濃くなる中で、サクラ、ツツジが咲き競う華やかな時季が過ぎ、落ち着いた雰囲気を醸し出す小石川植物園です。園内ではしっとりとした初夏の花々をあちこちに見かけました。

園内の日本庭園です。周りの緑の世界と調和し、しっとりと落ち着いた感じになってきました。

バショウ(芭蕉;バショウ科バショウ属)の巨大な葉が青々と茂ってきました。昔の沖縄では女の人がこの大きな葉を切り出して、芭蕉布を織りました。今は伝統工芸品に指定されています。芭蕉布で織った着物は麻の布のような感触で、風通しもよく涼やかです。

キソケイ(黄素馨;モクセイ科ソケイ属)の黄色の花です。ソケイとは芳香を放つジャスミンのことですが、キソケイは 白い花のジャスミン と違って、あまり香りはしません

北米およびキューバが原産のカルミア(ツツジ科カルミア属)の中高木を見つけました。大きな花序が枝先にいくつも付いていました。一つ一つの花序をよく見ると、コンペイトウのような小さな花が凝集して咲いています。別名がアメリカシャクナゲで、繊細な感じがします。

この時期はバラ科の花を多く見かけます。これはサクラバラ(桜薔薇;バラ科バラ属)で、うすピンク色の大きめのまだ盛んに咲いていました。あたりに甘い香りが漂ってきます。

北海道から九州、朝鮮半島に分布する落葉低木のノイバラ(野茨;バラ科バラ属)の白い花もこの時期に咲いています。ノイバラはいわゆる野バラのことで、質素で野性味があります。

このしっとりと落ち着いた黄色の花は、バラ科キジムシロ属の落葉低木キンロバイ(金露梅)です。盆栽などによく用いられています。白い花の品種をギンロバイ(銀露梅)とかハクロバイ(白露梅)と呼びます。

中国南部、台湾が原産の常緑低木のシセンテンノウメ(四川天の梅;バラ科テンノウメ属)。山地の岩場に生育します。梅の花に似た小さな白い花が天の星のようであることからこの名が付いたとのこと。

シロバナヤエウツギ(白花八重空木;ユキノシタ科ウツギ属)。ウツギの変異種で、わが国の山野に自生します。枝先に八重の白い花を咲かせます。

アマギベニウツギ(天城紅空木;スイカズラ科タニウツギ属)が濃紅色の花を付けています。アマギベニウツギはその名のとおり、伊豆半島だけに自生します。同属の タニウツギ とよく似ています。

アヤメ(菖蒲)の仲間の花も多くなりました。池の周りにはキショウブ(黄菖蒲;アヤメ科アヤメ属)の黄色の花が寄り添って咲いていました。キショウブは湿地や水辺に繁殖します。

この立派な薄紫色の花はイチハツ(一八;アヤメ科アヤメ属)の花です。イチハツは、アヤメの仲間の中で「いち早く咲く」のでこの名が付いたようです。

園内の菖蒲田の様子です。アヤメの仲間の真打ちはハナショウブ(花菖蒲)ですが、これからです。6月になると、この菖蒲田の中に色とりどりのハナショウブの花が咲き競うようになります。

園内の草むらでは、色んな野の花を見つけることができます。この黄色の花はクサノオウ(ケシ科クサノオウ属)です。あちこちの草むらに増えてきました。クサノオウは皮膚病の湿疹(くさ)を治す薬効があります。

匍匐茎で広がったムラサキサギゴケ(紫鷺苔;ゴマノハグサ科サギゴケ属)が苔のように地面にへばりついていました。何とも面白い様子です。単にサギゴケともいう。

カタバミの仲間の花々も随所に見かけます。ここではシロバナイモカタバミ(白花片喰;カタバミ科カタバミ属)とムラサキカタバミ(紫片喰;カタバミ科カタバミ属)が重なって生えていました。

最後にわが家の庭の紹介です。北米原産のヒルザキツキミソウ(昼咲月見草;アカバナ科マツヨイグサ属)が盛んに咲いています。宵に咲くツキミソウと違って、昼間に開花します。1年前の買い求め鉢に植えて放っておいたのですが、今年も咲き出しました。丈夫な野草です。
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