猛暑の8月に入りました、8月の花はサルスベリ、ナツズイセン、オミナエシなど
8月に入り、ここ東京地方では太平洋高気圧の勢力が強く猛烈な暑さが続いています。一方、台風11号、12号は進路をやはり太平洋高気圧に阻まれ、四国地方、九州地方に豪雨をもたらしています。
東京の日中気温は連日36℃とか37℃とかを記録し、少し外出しただけでビリビリと肌に食い込むような暑さに見舞われています。また、湿度の高い時はちょうど蒸し風呂に入っているような感じになってたまりません。このあと、立秋(7日)、旧盆(13日)と続きますので、暦通りに暑さが和らいで欲しいものです。
さて、こんな訳で植物園には熱中症を予防するため出かけるのを控えています。その代わり、今までの小石川植物園の風景写真をまとめた「四季の植物」の8月セレクション から、この時季の花を紹介します。

(2007.8@小石川植物園)

(2005.8@小石川植物園)
代表的な夏の花木はやはりサルスベリ(百日紅;ミソハギ科サルスベリ属)です。真夏の強い日差しの中で美しい赤紫色の花が青空に鮮やかに映えています。花の色は、赤紫色以外にも真紅、薄紫色、白色などがあります。夏季に比較的長い期間花を付けることから、百日紅の別名があります。 サルスベリの木の幹は和名のとおり「猿も滑り落ちるような」すべすべした感触の樹皮に覆われています。

(2007.8@小石川植物園)
日本庭園に建つ旧東京医学校の建物の前は季節の花々が咲くようになっていますが、8月には建物の前のサルスベリの高木が濃い赤紫色の花を付けます。ただ、近年、木の勢いが弱まってきたのでしょうか。花の付き具合が悪くなってきているのが気がかりです。

(2011.8@小石川植物園)
植物園の塀越しに立ち並ぶ背の高いヒマワリ(向日葵;キク科ヒマワリ属)の花が、夏の日差しを一杯に受け咲き出します。青空を背景にしたヒマワリの花は真夏の風物詩です。

(2012.8@小石川植物園)
ヒマワリよりずっと小振りですが、近縁種のキクイモ(菊芋;キク科ヒマワリ属)です。鮮やかな黄色の花が静かに風にたなびいています。地中に塊茎ができ、菊の花と似ていることからこの名が由来。

(2008.8@小石川植物園)
この時期、オオハンゴンソウ(大反魂草;キク科オオハンゴンソウ属)が園内の随所に群生します。ルドベキアとも呼ばれます。北アメリカ原産の帰化植物で、各地で大群落がみられます。しかし繁殖力が旺盛なため、在来植生への影響が深刻な問題になっている例が多くなっています。

(2004.8@小石川植物園)
ヒガンバナ(彼岸花;ヒガンバナ科ヒガンバナ属)は9月の彼岸の頃に真っ赤に咲き出しますが、この時期は同属のナツズイセン(夏水仙)の淡桃色の花が林地の茂みに見かけます。水仙の名を含んでいますが、水仙よりも彼岸花や百合の花に似ています。

(2012.8@小石川植物園)
林地の涼しい所に橙色のキツネノカミソリ(狐の剃刀;ヒガンバナ科ヒガンバナ属)の花を見かけます。やはりヒガンバナの同属です。面白い和名がですが、春先の伸びた葉をキツネの剃刀にたとえ、この名が付いたとのこと。

(2008.8@小石川植物園)
秋の七草の一つオミナエシ(女郎花;オミナエシ科オミナエシ属)の密集した黄色の花が咲き出すのもこの頃です。オミナエシを見ると酷暑の中でも近づく秋が予感されます。オミナエシは「ひょろひょろと なお露けしや 女郎花」と芭蕉が詠んだように細長い茎をもち、花が風にそよぐ様子はいかにも女性的な雰囲気を有しています。

(2005.8@小石川植物園)
オミナエシ(女郎花)と対になった名前がつくオトコエシ(男郎花;オミナエシ科オミナエシ属)は白い花を咲かせます。華やかな黄色のオミナエシに比べると質実な感じがします。オトコエシは全草に特有の腐敗臭がありますが、生薬として用いられ、解熱、消炎、腹痛や下痢などに効能があるとされます。
上記以外にも、植物園では猛暑下であってもいろいろな花を見つけることが出来ます。
→ 「四季の植物」の8月セレクション
この8月は暑さが少し収まってから出かけることにします。
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