6月初旬の皇居東御苑の花々、しっとりと美しい花菖蒲や威風堂々たる泰山木
6月初旬、皇居東御苑を訪れました。まだ梅雨入り前の穏やかな時季で、苑内は落ち着いた雰囲気の風景が広がっていました。(→皇居東御苑略図)

皇居大手門から入って右手にある二の丸庭園。菖蒲田にしっとりと美しいハナショウブ(花菖蒲;アヤメ科アヤメ属)が色とりどりに咲き競っていて、大勢の人が集っていました。


この菖蒲田には84品種のハナショウブが植えられていますが、1966年に明治神宮御苑の菖蒲田から株を譲り受け、以来しっかりと守り育てられているものだそうです。


近くの二の丸雑木林を見ると、木々が雪を被ったかのように真っ白に覆われていました。よく見ると、満開になったヤマボウシ(山法師;ミズキ科ミズキ属)の白い花でした。ハナミズキとよく似ていますが、 ヤマボウシの方がが少し野性的な感じがします。また、花が少し小ぶりで、開花時期も遅れます。

また、庭園の池の中には水生植物が黄色の花を付けていました。これはアサザ(浅沙;ミズガシワ科アサザ属)です。アサザは浮葉性植物で地下茎をのばして生長し、スイレンに似た切れ込みのある浮葉をつけます。

池の水面からポツンポツンとの黄色の花を突き出ているのはヒメコウホネ(姫河骨;スイレン科コウホネ属)です。ヒメコウホネは小さなコウホネの意味になります。コウホネ(河骨)の名は、根茎が白くゴツゴツしていて骨のように見えることに由来します。

二の丸ゾーンから汐見坂を上った所が天守台や大芝生が配置された本丸ゾーンです。この天守台の上にそびえ立つ天守閣は寛永年間の1657年に大火で焼失してから、再建されることはありませんでしたが、徳川幕府の治世が安定してきたことの証左になります。

天守台からの素晴らしい眺望です。大芝生が広がっていて、後方には丸の内から大手町の高層ビル群がそびえています。大都会と大自然が見事に融和しています。


大芝生の周りに何本かのタイザンボク(泰山木;モクレン科モクレン属)の高木が生えています。高木を見上げると神々しく堂々たる花が随所に咲き出していました。この花は、子どもが在学した高校の校歌にも唱われていて、特別な思いがこみ上げてきます。

アジサイ( 紫陽花;ユキノシタ科アジサイ属)もこの季節の代表的な花木です。青紫、赤紫、白など色とりどりの花が、土手の斜面に群生して咲いていました。

この季節の野の花も見つけました。これは多年草のホタルブクロ(蛍袋;キキョウ科ホタルブクロ属)。伊豆半島の安山岩で作られた石室の上に咲いているのを 見つけました。釣り鐘状の花の形状が面白い。

ドクダミ(ドクダミ科ドクダミ属)の白い花が苑内のあちこちの草むらに盛んに咲き出してきました。ドクダミは独特の臭気がありますが、十薬と呼ばれるように様々な薬効を有しています。

トキワツユクサ(常磐露草;ツユクサ科ムラサキツユクサ属)の白い花弁の三角形の花が汐見坂の坂道の路傍に咲いていました。トキワツユクサは南アメリカ原産で、わが国には昭和初期に観賞用として持ち込まれ、その後野生化しています。
まもなく梅雨入りですが、この時季の花々は雨に濡れても輝いていて、これまた風趣があります。梅雨時の散策は次回以降で。
…> 季節のスケッチ(27年6月)
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