季節・風景・植物

2025年11月 7日 (金)

朝晩の冷え込み続き、植物園でも木々の紅葉が始まる



 このところ、朝晩の冷え込みが厳しくなり、秋が本格化してきました。スッキリした秋晴れの天気が少ない中、11月上旬のこの日は久しぶりに日差しが戻ってきましたので、小石川植物園をぶらぶらと散策してきました。園内では、木々の紅葉・黄葉が始まり、秋の木の実もあちこちで見られるようになってきました。上の写真はハゼノキの実です。


 巨木並木ゾーンの風景です。これは北米東部原産の落葉高木アメリカスズカケノキ(スズカケノキ科スズカケノキ属)。緑色、黄色、褐色の大きな木の葉がコラボしていて、壮観な眺めです。


 日本各地、中国、朝鮮半島に分布する落葉高木カツラ(桂;カツラ科カツラ属)。ハート形の円い形状の黄葉が陽光に美しく輝いていました。カツラの落ち葉は甘い香りを呈するので、少し離れた所からでもカツラの存在に気がつきます。


 北米原産の落葉高木で庭木や街路樹として利用されているハナミズキ(花水木;ミズキ科ミズキ属)の紅葉です。ハナミズキ初夏には紅白の花が美しく咲き出します。


 北米に広く分布する落葉広葉樹のヒッコリー(クルミ科ペカン属)。独特の形状の大きな木の葉が見事に褐色に色づいています。ヒッコリーは材質が良く、建築家具、工芸材やスキー用材として使用されます。


 中国原産の落葉高木フクロミモクゲンジ(袋実木欒子、オオモクゲンジ;ムクロジ科モクゲンジ属)。一見すると花のように見えますが、袋果です。まん丸の黒い種子がこの袋の中に入っています。


 関東以西~沖縄の山野に生える常緑高木クロガネモチ(黒鉄黐;モチノキ科モチノキ属)。晩秋に赤い実が樹木全体にたわわにつく。公園樹、街路樹として用いられる。


 最後に我が家の庭の風景。常緑樹キンカン(金柑;ミカン科キンカン属 or ミカン属)の樹木にたわわに小さな果実が付いていて、次第に黄色が濃くなってきました。


 キンカンは、ミカン科の果実の中で果皮のまま食べられるのが特徴。果皮のついたまま甘く煮て甘露煮にすると、美味しく食することができます。葉の成分には精油が含まれています。


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2025年10月17日 (金)

10月中旬、キンモクセイやショウキズイセン等の季節の花々



 10月中旬に小石川植物園を回ってきましたが、秋の季節が少しずつ進んできました。園内の巨木、大木が立ち並ぶ巨木並木の風景です。中央部のスズカケノキ(鈴懸の木、プラタナス;スズカケノキ科スズカケノキ属)の樹木上方を見ると、うっすらと黄葉し始めているのが分かります。


 秋の代表的な芳香木のキンモクセイ(金木犀;モクセイ科モクセイ属)。キンモクセイのいい香りは季節の風物詩で、この芳香を楽しみにし植物園に出かけたのですが、約1週間前に満開だったそうで、残念ながらこの日は花はほとんど終わり。今年はかすかな残り香で我慢せざるを得ませんでした。


 ヒガンバナの群生地に立ち寄ってみたら、姿形がそっくりですが、花が橙色のショウキズイセン(鍾馗水仙;ヒガンバナ科ヒガンバナ属)が盛んに咲いていました。中国からの帰化植物で九州、四国、沖縄などで自生する球根植物。形状から黄花彼岸花とも言われる。ヒガンバナに遅れてこの時期に咲き出します。


 巨木並木以外にも園内各所に巨木や高木が生えています。園入口すぐ近くのメタセコイア(曙杉;ヒノキ科セコイア亜科メタセコイア属)もうっすらと黄葉が見られます。


 イタリアヤマナラシ(西洋箱柳、ポプラ;ヤナギ科ヤマナラシ属)の高木。かなり黄葉が進んでいるように見えますが、これは木の幹に巻き付いているナツヅタ(夏蔦;ブドウ科ツタ属)の黄葉です。一見すると間違いそうになります。


秋の野の花も見かけました。これはシラヤマギク(白山菊、婿菜;キク科シオン属)です。秋の山地に咲く野菊の一つで、北海道から九州、朝鮮・中国に分布する多年草。



チベットの高地に自生する多年草のシュッコンソバ(宿根蕎麦;タデ科ソバ属)が、園内の草むらに盛んに咲いています。シュッコンソバの白い花は普通のソバの花と似ていて、清楚な趣があります。地下に黄赤色の根茎を残し越冬します。


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2025年10月 3日 (金)

10月に入った小石川植物園、ようやく秋の気配が広がる



 10月に入ってすぐ小石川植物園を回ってきましたが、各所に咲き広がるヒガンバナや色づいてきたイチョウの銀杏の実など、ようやく秋の気配が広がってきました。ただ、ヒガンバナは例年9月後半が見頃なので、季節が半月程遅れているような気がします。


 園内の随所でヒガンバナ(彼岸花;ヒガンバナ科ヒガンバナ属)の燃える炎のように美しい花が半月遅れで咲き出します。ヒガンバナは大部分が赤花ですが、白花も希に咲いています。


 春のサクラ満開のときは大勢の人で賑わうソメイヨシノ(染井吉野)のサクラ並木の様子。サクラの紅葉はまだですが、涼しくなってきたので、ベンチで佇む人を少し見かけるようになりました。


 八重咲きのスイフヨウ(酔芙蓉;アオイ科フヨウ属)。日本や中国、台湾などに自生する落葉低木フヨウの園芸品種です。スイフヨウの花は一日花で、白色からピンク色に徐々に変化してしぼみます。この様子がちょうど酔って赤くなるかのようで、和名の由来となります。


 北米原産の落葉高木ハナミズキ(花水木;ミズキ科ミズキ属)。初夏には美しい紅白の花が咲き、秋には紅葉を楽しむことができますが、現在はうっすらと紅葉が見られ、これからが本番です。


 中国原産の落葉高木イチョウ(銀杏;イチョウ科イチョウ属)。この樹木は精子発見で有名なイチョウの大木です。イチョウの葉はまだ青々としていますが、イチョウの実が熟し、黄色に色づいてきました。この実から美味しい銀杏が採れます。

(温室・冷温室)


 奄美大島~琉球列島に分布する常緑低木のオオシマコバンノキ(大島小判の木;コミカンソウ科オオシマコバンノキ属)。球形の果実(液果)が紅色~淡紅色に熟しています。昆虫のハナホソガの幼虫がこの赤い果実の中に入り込み、オオシマコバンノキの種子の一部を食べて育ちます。そして親の蛾が授粉を媒介するといった共生関係が見られます。


 南アメリカ原産の耐寒性常緑低木のコバノセンナ(マメ科センナ属)。鹿児島県南部、奄美、沖縄に分布する。10月~12月頃、枝先に多くの鮮やかな黄色の花がまとまって咲きます。小さな丸い葉が互生する。同属(草本)のハブソウエビスグサと花が似る。沖縄では公園等でよく見かけます。


 アサガオガラクサ(朝顔柄草;ヒルガオ科アサガオガラクサ属)。国内では沖縄本島、宮古諸島、八重山諸島等に分布し、海岸近くの草地に生育します。地面を匍匐して横に広がる多年草。6月~11月頃、小柄な青色の花が咲きます。


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2025年9月15日 (月)

9月中旬の小石川植物園、ようやく彼岸花が咲き始める



 9月中旬の敬老の日に小石川植物園を訪れてきました。7月から続いていた酷暑がなかなか収まらないのですが、家の中で連日エアコン下でじっとしているのも耐え難いものがあります。この日は少しだけ気温が下がりそうでしたので、開園早々に短時間だけ急いでひと回りしてきました。園内は人もまばらで全体的には夏の雰囲気でしたが、季節の風物詩のヒガンバナ(彼岸花)が少しづつ咲き始めていました。


 ヒガンバナ(彼岸花;ヒガンバナ科ヒガンバナ属、別名:曼珠沙華)の群生地の一角で、真っ赤な花が少しだけ咲いていました。例年ちょうど秋の彼岸の時期に満開になって咲き広がりますので、こんな感じかとも思いますが、長引いた猛暑のせいで咲き具合が少し後れているようです。


 群生地のヒガンバナ(彼岸花;ヒガンバナ科ヒガンバナ属)の多くの株はまだ茎がツンツンの状態でした。9月中には満開になると思われます。


 園入口近くに生えるオオモクゲンジ(大木欒子;ムクロジ科モクゲンジ属、別名:フクロミモクゲンジ(袋実木欒子))。中国原産の落葉高木。高木の樹木全体に黄色の細かい花を盛んに付けていて目を引きます。


 オオモクゲンジにはgolden rain tree との英名が付いています。園の外側の路面にも花が降り注ぎ、黄金色のオガクズを敷き詰めたようになっています


 古井戸近くに生えていたヤマザクラ(山桜;バラ科サクラ属サクラ亜属)の古木が倒壊していました。樹木の剪定部分などから雨水が木の内部に侵入し、腐食を早めたようで、数日前に突然倒れたとのことです。


 このヤマザクラの2019年12月時点の写真です。見事な紅葉で楽しませてくれていました。植物にも寿命があるとはいえ、今回の倒木は残念なことです。長い間本当に有難うございました。


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2025年8月14日 (木)

葛西臨海公園のヒマワリ畑



 数日前テレビ放映で知り、早速江戸川区の葛西臨海公園のヒマワリ畑に出かけてきました。自宅から車で午前9時頃に出発し、10時前には現地到着。駐車場はやや混んでいましたが、待ち時間なしで駐車できました。公園内の大観覧車付近に近づくと、たくさんのヒマワリが咲き誇っていました。


 大観覧車付近のひまわり畑には、ソニア、バレンタイン、復興ひまわりの3種類のヒマワリ(向日葵;キク科ヒマワリ属)が配置されていました。ソニアは濃いオレンジ色の花径約10cmの花を咲かせ、よく枝分かれする種でがっしりした感じ。これに対し、バレンタインはクリーム色がかった黄色の花が咲き、背丈は約1mの低め。子ども向けに用意されたようです。また、復興ひまわりは阪神大震災由来のひまわりの種「はるかのひまわり」です。


 ソニアのヒマワリの花が咲き並んでいます。ヒマワリは夏の青空がよく似合うのですが、この日はまだ少し曇りがかっていました。帰宅後の正午近くになって、ようやく晴れ上がった青空になってきました。ちょっと残念でした。


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2025年7月12日 (土)

猛暑一服の7月中旬、小石川植物園は深緑の世界



 今年は梅雨明け前から猛暑が到来し、大変な日々が続いていますが、7月中旬に入って、ようやく猛暑が一服しました。この日は夏空からはほど遠い曇り空でしたが、深緑で覆われた小石川植物園の園内をぶらぶら回ってきました。


 植物園本館に隣接するソメイヨシノサクラ並木の樹下も緑一色です。桜満開の頃は敷物を広げ団らんする多くのグループで賑わっていますが、夏のこの時期は閑散としています。


 園入口付近のイチョウ(銀杏;イチョウ科イチョウ属)の大木です。手前は精子が発見されたというソテツ(蘇鉄;ソテツ科ソテツ属)。また、右方はモチノキ(黐の木;モチノキ科モチノキ属)、左方はバショウ(芭蕉;バショウ科バショウ属)。一面緑の世界ですが、植物によって緑の色合いが異なります。


 いろんな木々の花も見かけました。これはムクゲ(木槿;アオイ科フヨウ属)。中国原産の落葉低木。夏の代表的な花木で観賞用に栽培される。花期が長く、風雅で落ち着いた雰囲気で夏中咲き続けます。


 キョウチクトウ(夾竹桃;キョウチクトウ科キョウチクトウ属)。インド原産の常緑低木。炎暑の夏を延々と咲き続ける夏の花木で赤花と白花がある。葉の形状が竹に似て狭く、花が桃に似ていることから和名が由来。木枝に強い毒性を有するので要注意。


 わが国の山地に自生し、川沿いによく生える落葉高木のヒメグルミ(姫胡桃;クルミ科クルミ属)。木枝に青い実が沢山ついています。このアト秋に熟します。実の内部の種(クルミ)は風味豊かで食用になります。


 春に見事な花で楽しませてくれたツバキ(椿;ツバキ科ツバキ属)の木にも青い実が沢山付いていました。熟した実の中の種子から椿油が抽出されます。椿油は食用のほか、化粧品、薬品、また石鹸などの原料としても用いられます。


 野の花(草本)も数多く見かけました。これは日本、中国、朝鮮半島、サハリンが原産の多年草ノカンゾウ(野萓草;ワスレグサ科ワスレグサ属)の橙色の花。一重のすっきりした形状です。ユリの花が上を向いたような形をしています。


 キクイモモドキ(菊芋擬き;キク科キクイモモドキ属)。ヒマワリと比べ小さめの花でヒメヒマワリ(姫向日葵)の別名で親しまれています。夏の暑さにも負けずに力強く咲き続ける丈夫な宿根草です。北米原産で日本には明治時代に渡来。


 カワラナデシコ(河原撫子;ナデシコ科ナデシコ属)の繊細な花。別名はヤマトナデシコ(大和撫子)。また単にナデシコ(撫子)とも呼ばれます。秋の七草の一つで、7月頃から秋にかけて花を咲かせます。


 最後にわが家の庭先の植物です。これはホンコンカポックやシェフレラとも呼ばれるヤドリフカノキ(ウコギ科シェフレラ属)。オレンジ色の小さな丸い果実が花のアトに沢山ついています。5月頃から枝先や葉腋に小さな淡緑色の花を多数つけていました。革質で光沢がある美しい緑葉が多数つき、観葉植物として人気があります。


 ニチニチソウ(日々草;キョウチクトウ科ニチニチソウ属)とセンニチコウ(千日紅;ヒユ科センニチコウ属)の寄せ植えです。近所の花屋さんからポットで購入し、適当に並べたものです。


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2025年6月 6日 (金)

梅雨入り直前の小石川植物園、ハナショウブが見頃


 6月に入り暑い日が続いていますが、そろそろ梅雨入りです。小石川植物園では日本庭園の一角にある菖蒲田のハナショウブ(花菖蒲)が見頃になっていました。また、梅雨空に似合うとされるアジサイ(紫陽花)の花や高木の上方にタイサンボク(泰山木)の特大の花などが咲き出しています。


 ちょうど満開になった菖蒲田のハナショウブ(花菖蒲;アヤメ科アヤメ属)です。江戸系を中心とする約70種類の花菖蒲が植栽されています。普段は静かな雰囲気ですが、この時期だけは華やかな景観に多くの人が見入っています。


 花菖蒲の系統研究は小石川植物園を中心として進められてきました。花菖蒲には地域ごとに独自の発展を遂げてきた3つの系統(江戸系、伊勢系、肥後系)があります。現在、園内の温室前の所で古典的な花菖蒲が展示中です。


 江戸系の「五湖の遊」。江戸系は江戸時代に変異個体を元に改良されてきた品種群で、群生美を鑑賞します。


 伊勢系の「朝日空」。伊勢系は伊勢松阪地方で発達した品種群で、垂れ咲きの三英花とか花弁の縮緬地が特徴。


 梅雨空にはアジサイ(紫陽花;アジサイ科アジサイ属)がよく似合うとされています。この時期、園内各所ではいろいろなアジサイの花が咲いていますが、多くはわが国固有種のガクアジサイです。


 ガクアジサイ(額紫陽花;アジサイ科アジサイ属)は日本固有種で房総半島、伊豆半島、三浦半島などの海岸地に自生します。花序を見ると、中心部の多数の両性花の周りに装飾花が額縁のように縁取っています。


 北米原産の常緑高木タイサンボク(泰山木;モクレン科モクレン属)。大木の樹上に威風堂々の白い大きな花が上向きに咲き並んでいます。木の下からはよく見えませんが、花の中心部に黄色の雄しべが密生します。高所に神々しく咲くタイサンボクの花は神々しい風格を感じさせます。


 この季節、いろんな草本の花々も見かけます。熱帯アメリカ原産の一年草シロアザミゲシ(白薊芥子;ケシ科アザミゲシ属)。透き通ったような白い色で妖美な感じがします。茎や葉にアザミのような鋭いトゲがあって、間違って触るとピリッとした痛みを感じます。


 ドクダミ(毒溜、十薬;ドクダミ科ドクダミ属)が草むらに群生しています。ドクダミは道ばたや草むらの半日陰地に分布する多年草。葉茎に独特の強い匂いがあるが、様々な薬効があり、腫れ物、皮膚病などに利用されます。また、北米東部に分布する多年草のオオムラサキツユクサ(大紫露草;ツユクサ科ムラサキツユクサ属)もポツポツと交じっています。


 近所の白山神社を回ってきました。神社へは石段を上って境内に入ります。あじさい祭りが開催される直前でしたので、まだ静かでした。この白山神社は、江戸時代に小石川植物園内にありましたが、5代将軍綱吉の屋敷造営のため、現在地に移ったとのこと。白山神社はこの縁で、綱吉と生母桂昌院の厚い帰依を受けたと言われています。


 この時期、白山神社の境内から隣接する白山公園にかけて、約3,000株のアジサイが咲き誇ります。ガクアジサイホンアジサイカシワバアジサイなど多様な紫陽花を楽しむことができます。ユリの花も交じっています。


 境内に中国革命の父といわれる孫文の座石の碑が建っています。かつて孫文はこの石に腰掛けながら、たまたま夜空に流星を見て、祖国の革命を心に誓ったとされています。

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2025年5月 4日 (日)

GW後半の小石川植物園、初夏の花々と緑の世界



 GW後半のみどりの日、小石川植物園を訪れたところ、この日は植物園の日ということで入園料無料となっていて、大勢の人で賑わっていました。園内は新緑から万緑へと移りつつある緑の世界の中で、落ちついた感じのいろんな初夏の花々を見かけました。


 スズカケノキユリノキケヤキなどの巨木が数多く立ち並ぶ巨木並木の初夏の風景です。つい先日までの新緑が日に日に色濃くなってきました。散策の人たちが樹下のベンチでゆったりと寛いでいます。


 巨木並木の一角に生えるユリノキ(百合の木;モクレン科ユリノキ属)の大樹に花が咲いていました。チューリップに似た形をしたクリーム色の可愛らしい花でオレンジ色の横縞が入っています。


 ユリノキ以外にも、園内では初夏のいろんな花々が咲いていました。これは北海道から九州にかけての山野に自生する落葉低木ノイバラ(野茨;バラ科バラ属)が盛んに咲いていました。ノイバラはいわゆるトゲが多い野バラのことで、我が国のバラの代表的な原種。


 サクラバラ(桜薔薇、カイドウバラ、サクライバラ;バラ科バラ属)。コウシンバラとノイバラとの自然交雑種で日本に自生する落葉低木。サクラの花に似た薄紅色の大きめの花から甘い香りが漂ってきます。原種バラの一つ。


 関東以西と九州南部に分布する常緑低木サツキ(皐月;ツツジ科ツツジ属ツツジ亜属ヤマツツジ節サツキ列)。本来は渓流沿いの岩の上に生育する渓流植物。古典園芸植物の一つで盆栽などにも多く使われる。


 ミヤマキリシマ(深山霧島;ツツジ亜属ヤマツツジ節ヤマツツジ列)。霧島山・えびの高原をはじめ、九州各地の高山に自生する半落葉低木のツツジ。5月下旬~6月中旬に開花し、満開時には山の斜面いっぱいに埋め尽くすように咲き広がります。


 ヒッコリー(オーバータヒッコリー;クルミ科ペカン属)。北米に広く分布する落葉広葉樹。雌雄異花で小さな雌花は枝先に数個つき、雄花は枝先の葉腋から穂状に垂れ下ります。


 カマヤマショウブ(蒲山菖蒲;アヤメ科アヤメ属)。朝鮮半島、中国東北部が原産の多年草。濃い紫色の花で外側の大きい花びら(外花被)の中央に網目模様があります。韓国の釜山から和名が由来。


 多年草ムラサキカタバミ(紫傍食;カタバミ科カタバミ属)。園内の草むらに静かに咲いています。南米原産で観賞用として渡来。今では庭、畑、空き地など至るところに広く分布しています。


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2025年5月 1日 (木)

初夏の新宿御苑、ユリノキやハクウンボクの大樹が満開



 やはりGW前半(4/30)に都内の新宿駅や千駄ヶ谷駅に隣接して展開する国民公園の新宿御苑を訪れてきました。この日は青空が広がり、苑内の樹木たちの生き生きとした初夏の営みを楽しむことができました。


 新宿御苑の入口は新宿門、千駄ヶ谷門、大木戸門の3ヶ所。車で来たときは大木戸門が便利。新宿御苑は明治39年に皇室の庭園となりましたが、戦後の昭和24年に国民公園として一般に公開されました。苑内には風景式庭園、整形式庭園、日本庭園の異なる3つの庭園が巧みに配置されています。


 ユリノキ(百合の木;モクレン科ユリノキ属)のチューリップに似た花を見つけました。北米中部原産の落葉高木で初夏の頃にクリーム色の花が咲き出します。樹木の緑と色合いが似ているため、うっかりすると見過ごしてしまいます。


 このユリノキ(百合の木)は温室近くの散策路脇に生えている大樹です。木枝をよく見てみると、なんと満開になった花が樹木全体を覆っているかのようで、圧巻の景観です。これまでユリノキの花は何度も見たことがありますが、これほど多くの花が一斉に咲き出している場面は初めてで、感動しました。


 ハクウンボク(白雲木;エゴノキ科エゴノキ属)の樹木も白い花が満開になっていました。北海道から九州に分布し、山地の落葉樹林に生育する落葉小高木。遠方からみると白雲が覆っているかのようです。


 初夏のこの時期、ハクウンボク(白雲木)は枝先に垂れ下がった総状花序に白い花を20個ほど下向きに付けます。エゴノキと似ていて葉が丸いのが特徴。庭木や公園木として用いられます。


 北海道から九州までの各地に広く分布する落葉高木のミズキ(水木;ミズキ科ミズキ属)も花が満開になっていました。春の新緑の後、初夏の新しい枝先に白い細かい花が盛んに咲き出し、高木が粉雪に覆われているかのように見えます。


 千駄ヶ谷門の近くに、見頃になった3種類のトチノキが隣接して生えています。これは日本原産のトチノキ(栃の木;ムクロジ科トチノキ属)です。総状のクリーム色がかった花がたくさん咲いています。葉がやや下向きにつく。


 次はマロニエという別名のほうが有名なセイヨウトチノキ(西洋栃の木;ムクロジ科トチノキ属)です。緑葉が茂る枝先にトチノキによく似た大きい円錐状の白い花序が多数直立します。葉は多くの小葉をつけ、小葉の形はトチノキと比べてややふっくらとした感じで先端がツンと尖っています。


 最後はベニバナトチノキ(紅花栃;ムクロジ科トチノキ属)。紅色の花が遠くからでもよく目立ちます。北米原産のアカバナトチノキと欧州原産のセイヨウトチノキ(マロニエ)との交配種の落葉高木。わが国では街路樹や庭園木などに用いられる。


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国営ひたち海浜公園に広がる青の絶景



 今年のGWの前半(4/28)に国営ひたち海浜公園に出かけてきました。毎年この時期になると必ずTVで放映されるネモフィラの青の絶景はあまりに有名で、そのうちにと思っていたのですが、今回ようやく実現しました。自宅からのドライブであれば2時間程度で到着する距離ですが、年齢のことを考え、今回はバス旅にしました。自分で運転せずに往復時は座席で寝ているだけといった楽々旅でした。たまにはいいものですね。


 国営ひたち海浜公園は、茨城県ひたちなか市の太平洋岸にあり、春のネモフィラ、秋にはコキアが広大なみはらしの丘に一面咲き広がります。公園入口から見晴らしの丘までは徒歩で15分程かかるので、小さなトレインバスで移動できるようにもなっています。


 ネモフィラが広がる青い絨毯の中を、みはらしの丘の頂上をめざして大勢の観光客が大行列です。外国からのインバウンドの人々も数多く見受けました。


 みはらしの丘のふもとには、黄色の菜の花畑が広がっていました。青と黄のコラボの風景です。


 咲き広がる可憐なネモフィラ(瑠璃唐草;ムラサキ科ネモフィラ属)の花。北アメリカ原産の一年草。澄んだ青色が初夏の季節にマッチします。分岐しながら匍匐して成長し、横に広がる性質から公園などでも利用され、この時期各地でネモフィラの花畑が見られます。


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